循環器内科
循環器内科では、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)、心不全、心筋症、心臓弁膜症、不整脈などといった心疾患や、下肢の閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患)、静脈血栓や肺血栓塞栓症、二次性高血圧の診療を主に行っています。
診療体制
診療日
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | ||
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206 | 午前 | 松森 | 濱田 | 二宮 | ||
午後 | 14時~ 濱田 |
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207 | 午前 | 板垣/藤岡 | 松森 | 尾崎 | 松森 | 板垣 |
午後 | 14時~ 尾崎 |
14時~ 板垣(1・3・5週)/ ペースメーカーチェック (2・4週) |
14時~ 二宮 |
14時~16時 尾崎/二宮 |
担当医
- 副院長:尾崎 正憲
- 主任部長:板垣 毅
- 医長:田辺 慶司
- 医長:濱田 晶子
- 医員:松森 佳子
- 医員:栗本 浩行
資格
- 日本循環器学会認定循環器専門医
- 日本循環器学会認定教育施設指導医
- 日本内科学会認定内科医
- 日本内科学会総合内科専門医
- 日本内科学会認定教育施設指導医
- 日本心血管インターベンション学会認定医
認定学会
- 日本循環器学会認定循環器専門医研修施設
- 日本内科学会認定教育施設教育病院
循環器病の症状
胸が痛い、息苦しい、動悸がする、めまいや気を失う、歩くと足が痛むなどの症状があれば、一度受診をお勧めします。
胸が痛い(胸痛)
狭心症、心筋梗塞の一般的な症状ですが、急性大動脈解離、肺塞栓症、心膜炎、不整脈、呼吸器疾患(胸膜炎や自然気胸)、消化器疾患(逆流性食道炎や胃潰瘍)、肋間神経痛、肋骨骨折、ストレスなどさまざまな原因があります。一般に狭心症の場合持続は2-3分で前胸部が圧迫されるような痛みです。心筋梗塞になると20分以上さらに強い症状が続きます。他の病気でも胸痛を来たすことはありますが、狭心症、心筋梗塞が頻度的にみても重症度でみても重要ですので、まず循環器内科を受診してください。
息苦しい(呼吸困難)
心不全の症状ですが、喘息や肺気腫など呼吸器疾患の多くも同様ですので区別は難しいです。足のむくみを伴う場合は心不全のことが多いでしょう。咳は心不全の場合あまり認めません。一般に心不全というのは心臓病のかなり進んだ症状ですので、放置せずに早く受診されるのが賢明です。
動悸がする(心臓がドキドキする)
不整脈の一般的症状ですが、狭心症や心不全、高血圧の場合もあります。動悸には脈が速くなる場合と、脈が飛ぶ場合、脈が強く打つ場合があります。
めまい、失神
これは重症の不整脈の症状ですが、脳や耳(内耳)の病気とまぎらわしいことがあります。不整脈の場合一時的で後に異常を残さないことが多いです。倒れて怪我をする場合や、車の運転中などは特に問題となりますので、すぐに循環器内科を受診してください。
歩くと足が痛む
下肢の末梢動脈疾患の症状ですが、脊柱管狭窄症など整形外科疾患の場合もあります。休んで治ることが多いですが、虚血性心疾患など他の病気も合併していることが多いですので、一度循環器内科を受診してください。
主な疾患
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)
胸痛が主症状で、一般に狭心症の場合持続は2-3分で前胸部が圧迫されるような痛みです。急性心筋梗塞では強い胸痛で発症し、圧迫感、吐き気、冷や汗、呼吸困難を伴います。20分以上持続し、14%が病院到着前に死亡するというデータがあります。発症後速やかな診断と治療が必要ですので、すぐに循環器内科を受診してください。
不整脈
脈が不規則になる状態を不整脈といいます。速い脈は頻脈性不整脈、遅い脈は徐脈性不整脈に分類されます。症状としては、脈が飛ぶ、動悸、胸痛、息苦しさ、ふらつきなどがあり、重症になると意識消失などを生じることがあります。また、脳梗塞で突然発症したり、心不全や突然死の原因となることもありますので、症状があれば一度循環器内科を受診してください。
心不全
心臓は全身の臓器に血液を送るポンプの役割を担っていますが、負荷に対して十分に代償できなくなった状態を心不全といいます。症状としては、足や顔の浮腫み、歩行時の息切れ、安静時の呼吸困難や喘鳴などがあります。また肺疾患や肝臓、腎臓疾患でも似たような症状が出ることがあります。心不全の原因がわかれば、薬物療法やカテーテル治療、外科手術など最適な治療が選択できます。
弁膜症
心臓は収縮・拡張を繰り返し全身に血液を送りますが、拡張の際に血液が逆流するのを防ぐ4つの弁が心臓にはあります。弁膜症は加齢などによる弁組織の変性や破壊により狭窄や逆流が生じる疾患の総称です。症状は動悸、息切れ、浮腫み、胸痛、意識消失など、心不全や不整脈、狭心症状によるものですが、無症状も多く、健診で偶然発見されることも多いです。心エコー検査が診断と重症度判定に有効です。
心筋症
心筋症には、肥大型心筋症と拡張型心筋症があります。前者では心臓が肥大し分厚くなり柔軟性を失うことで拡張する力が弱くなります。後者では、心筋が薄くなり心臓が拡張し収縮する力が弱くなります。他にまれな疾患で拘束型心筋症があります。症状は動悸、息切れ、浮腫みなど、心不全や不整脈の症状によるものです。心電図と心エコー検査が診断に有効ですので、症状があれば受診してください。
心筋炎
急性心筋炎は、ウイルス感染や何らかの炎症により心筋細胞が急激に障害を受けます。重症の場合、急性循環不全と血圧低下を生じショック状態となり、生命維持が困難になります。症状は、発熱などの風邪症状の後、急激に呼吸困難、不穏、意識低下などを生じます。中枢神経疾患と鑑別が必要な場合もあります。
心膜疾患
心膜とは心臓の筋肉を覆う外側の膜で、急性心筋炎や収縮性心膜炎などの病気があります。急性心膜炎の症状は発熱と前胸部痛があり、時に急性心筋梗塞と鑑別を要します。収縮性心膜炎では、心膜が硬くなり心臓の拡張を制限し、血圧低下や循環不全、浮腫みを生じます。いずれも早期の診断と治療が必要です。
末梢動脈疾患
主に骨盤部から足先までの動脈の一部が、動脈硬化により狭窄または閉塞することで血流が低下します。そのため運動したときにふくらはぎが痛んだり、重症になると足の指先が黒くなったり壊死したりします。また、この疾患は脳梗塞や冠動脈疾患の合併率が高いため、下肢以外に全身の動脈の検査が必要です。
静脈血栓塞栓症
長時間足を動かさないと足の静脈の血がよどみ、固まった血栓が静脈の流れに沿って肺動脈に到達し閉塞させます。エコノミークラス症候群とも言われています。症状は、足の腫れ、痛み、息切れ、胸痛、血痰や意識消失、突然死まで様々です。長時間の車での移動や手術を受けた後などに、足の腫れと息切れがあった場合には、早めに受診してください。血栓を溶かす薬や血栓を捕捉する下大静脈フィルターが有効です。
循環器内科の検査
心疾患が疑われたら、まず、心電図、レントゲン、血液、尿検査などを行います。脈波伝播速度(PWV)や四肢血圧測定(ABI)、頚動脈エコーなどで動脈硬化をチェックします。心機能評価や弁膜症の診断には心臓超音波(エコー)を、不整脈の診断にはホルター心電図を行います。狭心症の診断には更にトレッドミル運動負荷試験、核医学検査、冠動脈CT検査、心臓MRI検査などを行います。侵襲的検査としては、心臓カテーテル検査(冠動脈造影)や電気生理学検査があります。以上の検査を組み合わせ、鑑別診断を行います。
心臓超音波



ホルタ―24時間心電図


トレッドミル運動負荷試験


四肢血圧測定(ABI)


脈波図と四肢血圧測定(ABI)
24時間血圧測定


non dipper型
心臓核医学検査


下壁梗塞と前下行枝#9の99%狭窄
心臓CT



心臓MRI




循環器疾患の治療
循環器疾患の多くは生活指導や薬剤治療でコントロールできます。ただ完全に治ってしまう病気は少ないですので、長期にわたって根気強く治療を続けることが必要です。食事療法、運動療法、禁煙、生活習慣の改善など自己管理が極めて大切です。虚血性心疾患や重症な不整脈にはカテーテル治療や心筋焼灼術、人工ペースメーカー植え込みなど侵襲的治療が有効です。また外科的治療が第一選択の疾患もあります。
千船病院循環器内科の実績
年間多くのカテーテル検査とインターベンション(PCI)を行っています。また、急性心筋梗塞や不安定狭心症の救急患者さんには、24時間緊急でのカテーテルインターベンションを行っております。可能な限り手首の動脈から穿刺し、患者さんの負担を減らすようにしています。治療用ステントは、薬剤コーティングステント(DES)の使用が増え、再狭窄も極めて少なくなりました。ただ最近は高齢者、糖尿病、透析の患者さんの比率が増加し、複雑な病変が増えています。また、末梢動脈疾患の合併例も多く、下肢動脈に対するカテーテル治療(EVT)も増加しています。さらに、徐脈性不整脈に対し人工ペースメーカー植え込み術も行っています。治療実績は以下の通りです。
侵襲的検査、治療 |
2016年度 |
---|---|
心臓カテーテル検査・治療総数 |
440 |
CAG |
246 |
PCI |
145 |
PTA(EVT) |
6 |
IVCフィルター |
7 |
EPS/カテーテルアブレーション |
6 |
ペースメーカー |
30 |