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診療部・技術部のご紹介

消化器内科

腹痛、胸やけ、嘔気・嘔吐、食欲不振、血便(便に血が混じる)、黒色便(便が黒い)、便通異常(便秘、下痢、便秘と下痢の繰り返し)、便が細いなどの症状がある時に、消化器内科への受診をおすすめします。


消化器内科の目指す医療

 近年、医療の標準化をめざし各種ガイドラインが作成・整備され、日本のどこでも一定水準の医療が受けられるようになってきています。そのようななか、消化器内科はガイドラインに沿った診断・治療を提供するだけでなく、個々の患者様のニーズ・希望を叶えられるよう、患者様本人・ご家族様ともに親密に相談し、満足・納得できる医療を提供していくことを目指しています。また西淀川区域を中心とした地域生活を重視し、地域の開業医の先生方や福祉サービススタッフと連携を取り、地域内での生活を尊重しつつ必要かつ十分な医療の提供ができるよう日々努力しています。

特徴

トップレベルの内視鏡技術を提供し続けます!
 消化器疾患の診断および治療にかかせないのは内視鏡検査です。内視鏡検査には、リアルタイムに病的所見を捉える正確な診断能、1ミリのズレも許さない精密な内視鏡操作技術が必要であり、さらに苦痛を感じさせない丁寧な操作と説明が要求されます。当院では、院内内視鏡カンファレンスを開催し、各種学会・研究会に参加することで、内視鏡診断能の向上を図っています。また熟練医師による内視鏡技術の指導を常に行うことで消化器内視鏡医師の技術水準を引き上げ、常にトップレベルの内視鏡診断・治療を提供し続けられるよう心がけています。またそういった内視鏡施行医の能力を最大限に引き出すために、鮮明な画質を提供する最新内視鏡システムと、日々進化する内視鏡処置に対応した新規処置具を常に更新・採用しています。またより高度な治療が必要と判断される場合は、大学病院やがんセンターなどの大規模施設への紹介・連携も行っております。
地域医療への取り組み
 当院では地域開業医の先生との連携を大切に考え、気軽にかつスムーズに内視鏡検査をご利用できるようオープン検査として提供し、また迅速な結果提供ができるよう努めています。入院加療を必要とする患者様に関しては、不安なく入院生活が送れるよう入退院支援センター部門看護師より入院の準備・注意点から、入院後の治療概要に関して丁寧に説明をいたします。退院時には、退院後の生活環境の整備や各種福祉サービスの手配が必要な患者様においては、ケアマネージャー・ホームヘルパー・訪問看護師・往診医を交えた退院前カンファレンスを行い、退院後も安心した生活が過ごせるよう積極的な退院支援にも取り組んでいます。
価値ある緩和医療の提供を目指して ~今ある生活を大切に~
 当院は大阪府がん診療拠点病院として認定を受けており、消化器科では5大がんのうち胃がん、大腸がん、肝がん、それ以外にも膵がん、胆道がん、食道がんの診断および治療を担っています。当院では内視鏡治療から外科治療および抗がん剤による化学療法を行っています。また全てのがん治療に必要とされる緩和医療にも力を注いでいます。緩和医療といえば、高度に進行したがん患者さんや積極的な治療が困難な患者さんにのみ行われる治療、もしくはがんによる痛みだけを取り除くような治療と考えておられる方も多いと思います。がん診療においては、全てのがん患者さんに対して、診断当初より身体的ケアだけでなく心のケアを中心とした医療=緩和医療が必要と考えています。当院ではがんと向き合うことになったその日から心のケアを含めた緩和医療を提供し、これからのがん治療だけでなく生活に対する不安や疑問を共有・改善していけるよう取り組んでいます。当院の消化器内科医師は全員、日本緩和医療学会PEACEプロジェクトの「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修」を修了しています。
24時間体制の消化器救急対応
 当院は365日24時間体制での救急診療を行っており、消化器救急疾患に対しても24時間体制で対応しています。緊急入院が必要な疾患のみならず、内視鏡処置を含めた緊急処置が必要な場合にも、オンコール体制にて消化器内科専門医が迅速に対応しています。また内視鏡技師資格をもった看護師も8名おり、緊急内視鏡時にもサポート体制をとっているため、平日だけでなく夜間・休日の緊急時にも安全かつ正確な内視鏡処置を提供しています。

トピックス

大阪市胃がん検診(内視鏡検診)開始

平成29年10月より大阪市胃がん検診において内視鏡検診が開始されました。従来の胃がん検診はバリウムを用いた胃透視検査のみでしたが、50歳以上の方については内視鏡検査が選択できるようになりました(2年に1回)。胃内視鏡検査として、経口内視鏡検査だけでなく経鼻内視鏡検査も選択できます。ただし鎮静剤を使用したセデーション下検査は検診では受けられません。当院でも胃がん内視鏡検診を行っていますので、ぜひともこの機会に胃がん検診を受けてみてください!

C型肝炎に対するインターフェロンフリー治療

当院では2016年4月より肝臓専門医が常勤し肝臓学会認定関連施設となっており、C型肝炎に対するインターフェロンフリー治療を積極的に行っています。従来のインターフェロン治療では根治できなかった患者さんにおいても、現在のインターフェロンフリー治療ではほぼ100%の治癒率となっています。平日の消化器外来でいつでも治療可能ですので、気軽にご相談ください。

診療体制

診療日
                               
 
212 午前 船津 那賀川 鍋嶋 船津鍋嶋
午後大野14時~16時
那賀川
鍋嶋船津
-
211 午前吉安板東吉安(孝)羽鳥那賀川
午後消化器担当医消化器担当医消化器担当医板東消化器担当医
担当医
  • 主任部長:船津 英司
  • 医長:荻巣 恭平
  • 医員:鍋嶋 克敏
  • 医員:吉安 孝介
  • 医員:板東 正貴
  • 医員:名方 勇介
資格
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本内科学会認定内科医
  • 日本内科学会認定教育施設指導医
  • 日本消化器病学会消化器病専門医
  • 日本消化器内視鏡学会指導医・専門医
  • 日本肝臓学会認定肝臓専門医
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修終了
施設認定
  • 日本消化器内視鏡学会認定指導施設
  • 日本消化器病学会認定施設
  • 日本肝臓学会関連施設

消化器疾患と症状

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

 胃や十二指腸の壁の粘膜がさまざまな原因によって傷つき、粘膜損傷をきたした状態を「潰瘍」といいます。潰瘍がさらに深くなり、壁に孔があいた状態を消化管穿孔といい、胃酸などの消化液や腸内容物が腸管外に流出し、より重症な穿孔性腹膜炎となります。症状としては、みぞおちの痛み、吐き気、胸やけなどがあり、潰瘍部位から出血することで吐血や黒色便(タール便)を認めることがあります。
 胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因としては、古くはストレス、暴飲暴食、鎮痛剤などの薬剤によるものが考えられてきましたが、現在では胃に感染したヘリコバクター・ピロリ菌(Helicobactor Pylori)がほとんどの原因とされています。潰瘍の診断には内視鏡検査もしくは胃透視検査(バリウム検査)がありますが、潰瘍の存在診断だけでなく潰瘍の良悪性を判断するための粘膜生検やピロリ菌検査が可能な内視鏡検査がより優れています。

 治療は制酸剤や粘膜保護剤の内服加療による外来通院加療で根治可能ですが、潰瘍からの出血する可能性が高いと診断した場合や止血処置を行った場合は入院での加療が必要となることもあります。潰瘍治療に引き続き、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌療法を行っていきます。

逆流性食道炎

 最近TVのCMでも取り上げられるくらい増加が目立つ疾患です。胃液が食道に逆流することにより、胸焼けやみぞおちの痛みだけでなく、喉の違和感や、しつこい咳の原因となることもあります。上部消化管内視鏡検査で酸逆流の程度や逆流の原因を見極めたうえで、適切な治療を選択します。

胃癌

 日本人の死因となる代表的な悪性腫瘍でしたが、検診や内視鏡検査の普及により早期の段階で発見される場合も多く、また進行した病態でも外科手術や抗がん剤治療の発達により治療予後の改善が期待できます。早期癌に対しては内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を積極的に行っており、残念ながら進行癌と診断された患者様に対いては外科手術および抗がん剤治療を行っています。外科手術に関しては、当院では腹腔鏡手術を積極的に行っており、手術創が小さくすむだけでなく入院期間も短くなり、患者様の負担が最小限になるよう努力しています。

大腸癌および大腸ポリープ

 肉類などの動物性タンパク質および動物性脂肪の摂り過ぎや、食物繊維の不足が原因と考えられています。大腸の中で便の滞留時間が長くなると、高脂肪食は腸内細菌の働きを活発にし、発がん物質を作るといわれています。その発がん物質と大腸の粘膜の接触時間が長くなるとともに発がん物質の濃度が高くなり、がんが発生しやすくなると考えられています。症状としては、腹痛や出血、便秘や下痢、便が細くなる、残便感などがありますが、症状がなくても便検査で異常を指摘される場合もあります。症状は腫瘍が大きくなってから出てくることが多いため、早期の腫瘍を見つけるためには症状がない段階で大腸検査を受けることが重要です。大腸の検査には胃の場合と同様に、注腸検査(バリウム)と内視鏡検査があります。いずれの検査も検査前に下剤を服用する必要があります。注腸検査は内視鏡検査に比べて苦痛が少ないとされていますが、レントゲン検査台の上で体位変換を頻回に行う必要があります。また検査自体はレントゲン撮影を行うのみですので組織検査は不可能です。それに対して、内視鏡検査は直接腸管内を観察するため、詳細な観察・診断が可能であり、また病変の一部を採取する組織検査が可能です。また検査中にポリープが見つかった場合には、ポリープの種類・サイズによっては検査中に切除することが可能です。基本的には検査後の入院の必要はありませんが、食事療法や飲酒制限、日常生活上の注意事項がありますので、担当医および看護師からの指示に従っていただく必要があります。

炎症性腸疾患

 潰瘍性大腸炎とクローン病が代表です。もともと若い人に発症する病気でしたが、最近は中高年になってから潰瘍性大腸炎を発症する方も増えています。診断は、血液検査や内視鏡検査による病状診断を行い、ガイドラインに準じた内服治療(各種5-ASA製剤やステロイド・免疫抑制剤)や点滴治療を行っていきます。

過敏性腸症候群

 ポリープや潰瘍などといった腸管の形態変化を伴う病気ではなく、腸管の働きや動きに異常をきたす機能性胃腸障害とされる疾患です。内視鏡検査・レントゲン検査などの各種画像検査にて形態学的異常(器質的異常)がないことを確認したうえで、詳細な問診・診察を行って診断する必要があります。症状は、下痢、便秘、あるいは便秘と下痢を交互に繰りかえすことが多く、また腹痛を伴うことも少なくありません。治療は内服治療が主体ですが、患者さんの症状だけでなく生活スタイルや職業環境などを考慮しながら治療を行っていくことが重要です。

慢性肝炎

 古くからB型肝炎・C型肝炎という肝炎ウィルスによるものや、アルコール性肝障害が知られていますが、最近では非アルコール性脂肪肝といった疾患も増えてきています。慢性肝炎を放置していると、肝硬変・肝不全といった肝臓が機能しないような状態になったり、肝臓癌を発症したりすることがあります。いずれの肝疾患も初期段階では自覚症状に乏しく、健診などの血液検査で肝障害を指摘されて受診されることが多いです。しかし症状がないために定期的な検査を受けずに放置され、症状が出てきて初めて受診されることも多く、そのような段階ではかなり病状が進行している場合もあります。ウィルス性肝炎に関しては、これまで主流とされていたインターフェロン療法に代わり、B型肝炎に対する核酸アナログ製剤やC型肝炎に対する直接作用型抗ウィルス剤(DAAs:Direct Acting Antivirals)による治療が効果を発揮しています。特にC型肝炎に対するDAAs製剤はインターフェロンフリー治療として、ウィルスの完全排除も可能とされており、当院でも行っています。

原発性肝癌

肝臓癌の診断には造影エコー検査やCT・MRI検査を行い、外科治療やカテーテル治療(TACE:肝動脈塞栓化学療法)やラジオ波焼灼療法(RFA)を行っています。

総胆管結石症

 胆嚢内の結石が胆嚢から総胆管内に移動したものをいいますが、胆嚢摘出後にも総胆管内で自然発生する場合もあります。結石が総胆管と十二指腸の合流部である十二指腸乳頭部付近で詰まってしまうと、腹痛・発熱をきたし、時には皮膚や目の色が黄色くなる黄疸をきたすこともあります。結石が詰まった状態で放置しておくと数日で全身状態が悪くなり、時には十二指腸乳頭部を共有している膵臓の炎症を伴い重篤化する恐れがあります。診断法には、外来で可能なCT検査やMRCP検査、入院して行う内視鏡的胆管膵管造影検査(ERCP)があります。ERCPは内視鏡を口から十二指腸まで挿入し、カテーテルを十二指腸乳頭部から胆管内に挿入し、まず胆管造影を行います。そのうえで総胆管内に結石を認めた場合は、十二指腸乳頭括約筋切開術(EST)や十二指腸乳頭括約筋バルーン拡張術(EPBD)を行ったのち、結石を除去します。内視鏡処置が困難な場合には、体表から胆管の処置を行う経皮経肝的胆管ドレナージ術(PTCD)を行うこともあります。

急性膵炎・慢性膵炎

 上に示した総胆管結石やアルコール多飲が原因となって膵臓に炎症を生じるのが急性膵炎および慢性膵炎です。血液検査に加えてCT検査・MRI検査・内視鏡検査などの各種画像検査により原因と病態を把握し、膵臓の炎症を抑える治療を行うとともに、原因に対する治療を合わせて行っていきます。

胆道癌・膵臓癌

 胆道癌および膵臓癌は、日本における癌による死因のなかでも増えてきている悪性疾患です。症状に乏しいため診断時にはかなり進行した状態で見つかることも多いのが現状です。当院では胆道癌・膵臓癌の発生のリスクが高いとされている患者さんに対して積極的なスクリーニング検査を行い、早期発見に努めています。また膵臓癌への進展の可能性があるとされている膵管内乳頭状粘液産生性腫瘍(IPMN)に対しても、ガイドラインに沿った適切な診断および経過観察を行っています。


内視鏡検査(上部消化管内視鏡検査、大腸内視鏡検査、小腸内視鏡検査)

上部消化管内視鏡検査

 一般に胃カメラ検査といわれる検査で、喉の麻酔を行ったのち、口から胃に内視鏡(スコープ)を挿入し、咽頭・食道・胃・十二指腸を観察します。口からの挿入をする通常の経口内視鏡検査以外に、口径が細いスコープを鼻から挿入する経鼻内視鏡検査も行っています。経鼻スコープは経口スコープに比べて、スコープ径が細いため咽頭の苦痛や嘔吐反射が少ないとされています。ただスコープ径が細いため内視鏡に搭載されているCCDカメラも小さくなるため画質が悪いことや止血処置などの各種処置具が使えないことが欠点です。

 上部消化管内視鏡検査は検査前日の夜9時以降から検査当日まで絶食が必要となります。検査当日は絶食となるため、検査は午前中に行っています。検査は基本的には予約検査となり、一度外来診察を受けていただいたうえで、医師が内視鏡検査が必要と判断した際に検査予約を行います。当日の検査を希望される場合は、絶食で11時までに来院していただければ、可能な限りは対応いたします。ただし当日の検査件数や状況により対応できない場合もありますので、ご了承ください。

大腸内視鏡検査

 検査前日および検査当日に当院指定の下剤を服用していただき(大腸前処置)、肛門から内視鏡を挿入し大腸全体を観察します。外来にて医師の診察後、大腸内視鏡検査の予約を行い大腸前処置用の下剤を処方いたします。検査前日からの前処置が必要となるため予約検査となりますが、下血・血便により当日の検査を医師が必要と判断した場合は、簡易の前処置により全大腸の半分程度となるS状結腸までの観察を行うS状結腸内視鏡検査も行っています。

鎮静下検査(セデーション併用検査)

 内視鏡検査は生体内に内視鏡機器を挿入していくため、高度な技術や最新機器を駆使しても苦痛を伴います。胃カメラ検査の場合は若年の方ほど咽頭反射(喉に異物が入った際に生じるえづき・嘔吐)が強く、大腸カメラ検査の場合は腹膜炎や腹部手術後の腹腔内癒着を伴っている患者様は疼痛が強くでやすいとされています。初めて検査を受けられる方には、通常通りの検査を受けることをお勧めしますが、どうしても内視鏡検査が苦手という方や過去の検査でつらい思いをされた方には、鎮静剤を使用して眠っている間に検査を受けていただくセデーション検査(鎮静下検査)も行っています。セデーション検査は、鎮静剤の副作用である呼吸抑制・血圧低下に注意しながら行いますが、鎮静効果が覚めるまで検査後1時間程度休んでから帰宅していただきます。セデーション検査当日は自転車および自動車の運転ができないため電車などの交通機関を利用していただく必要があります。鎮静が覚めてからもふらつく場合があるので、特に高齢の患者さんの場合は付き添いがおられるほうが望ましいです。また検査結果については、当日の記憶があいまいとなることが多いため、後日に説明させていただくことをご理解願います。

小腸内視鏡検査・カプセル内視鏡

 炎症性腸疾患の診断や、原因不明の消化管出血の小腸精査のために、小腸内視鏡検査を行っています。前処置の必要性や検査時間の調整が必要となることもあり、完全予約検査としています。また小腸疾患のスクリーニングとしてカプセル内視鏡検査も行っています。

超音波内視鏡検査(EUS)

 通常の内視鏡観察では食道・胃・大腸の粘膜の変化を肉眼的に捉え、腫瘍の存在診断から良悪性の診断を行っていますが、腫瘍性病変の拡がりを正確に診断することはなかなか困難であり、それを可能にするのが、超音波内視鏡検査です。超音波内視鏡検査では、腸管の壁の厚みや腫瘍の拡がりを診断できるだけでなく、腸管外の腫瘍(たとえば膵腫瘍、胆道腫瘍)などの詳細な診断も可能です。たとえば胃癌の診断であれば、早期癌であるのか・進行癌であるのかの判断だけでなく、早期癌に対して内視鏡的切除が可能かどうかの診断を行っております。また各種胆道疾患や膵疾患のスクリーニング検査としても有用であり、超音波観察だけでなく腫瘍に針を刺して細胞採取を行う超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)も行っています。超音波内視鏡は診断検査として有用なだけでなく、各種胆道ドレナージ・膵嚢胞ドレナージといった治療手技にも活用しています。超音波内視鏡検査はいずれも通常内視鏡検査より検査時間が長く、また特殊な内視鏡を使用するため、検査は必ずセデーション(鎮静剤)を使用して行います。


消化器内視鏡治療

消化管悪性腫瘍に対する治療

 早期の消化管悪性腫瘍に対しては、超音波内視鏡検査(EUS)および狭帯域光観察(Narrow Band Imaging:NBI)・拡大内視鏡観察にて深達度診断を行います。深達度診断およびCT検査などの他画像診断を踏まえて総合的に内視鏡的切除の適応を診断し、内視鏡的切除の適応と診断した場合は内視鏡的粘膜切開剥離術(ESD)やスネアを用いたストリップバイオプシー法による内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行います。術直後は絶食管理が必要となるため入院での治療となります。術後の経過により段階的に食事を開始していきます。1週間前後で退院となり、外来にて切除病変の病理診断結果の説明を行います。

 内視鏡治療の適応がなく外科的治療の適応がある場合は、外科医師に紹介のうえ腹腔鏡手術や開腹手術を行います。残念ながら他臓器への転移が認められる場合や本人が外科的治療を希望されない場合は抗がん剤を用いた化学療法を行います。

 また腫瘍の進行に伴い消化管狭窄や消化管閉塞をきたし食事が摂れなくなる場合があります。その場合は、消化管の通過障害を改善するためバイパス手術などの外科的治療を行うこともありますが、全身状態が悪く手術が受けられない患者さんや少しでも早く退院して元の生活に戻りたいと希望される患者さんに対しては内視鏡的消化管ステント留置術も行っています。

胆道・膵疾患の検査・処置

 胆道・膵疾患の精密検査には、①CT検査やMRI検査、②腹部超音波検査(エコー検査:US)、③超音波内視鏡検査(EUS)および④内視鏡的胆管膵管造影検査(ERCP)があります。このうちCT・MRI・エコー検査は患者さんに対する侵襲も少ないため、スクリーニングや精密検査として第一に行われることが多い検査です。超音波内視鏡検査も外来で行いますが、検査の適応と具体的な方法について消化器科医師より説明のうえ行います。ERCPは診断だけでなく、胆道・膵臓の処置も併せて行うことが多いため、必ず入院のうえ行う必要があります。当院では十二指腸乳頭括約筋切開術(EST)や十二指腸乳頭括約筋バルーン拡張術(EPBD)を用いた胆管結石の除去、胆膵悪性疾患に対する各種細胞診・穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)、胆道悪性腫瘍に対する内視鏡的胆管ドレナージ(EBD)や金属ステント留置術(EMS)、胆石および膵石に対する体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、消化管術後の患者さんの胆膵処置(経皮経肝的胆道ドレナージ:PTCD,PTGBD、ダブルバルーン内視鏡を用いた胆道処置)など、さまざまな胆膵疾患に対する診断・治療を行っています。

千船病院消化器内科の実績
上部内視鏡実績
2016年度
上部消化管内視鏡検査総数
3,067件
超音波内視鏡
218件
ポリープ切除
5件
切開剥離術(ESD)
21件
内視鏡的止血術
61件
食道静脈瘤治療
23件
胃瘻造設
30件
下部内視鏡実績
2016年度
下部消化管内視鏡検査総数
1,800件
超音波内視鏡
5件
ポリープ切除
429件
切開剥離術(ESD)
8件
内視鏡的止血術
45件
胆膵関連検査治療実績
2016年度
胆膵関連検査総数
251件
ERCP/ERCP+IDUS
35件
EST+結石除去
108件
ERBD/EMS
77件
PTCD
10件
PTGBA/PTGBD
18件