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【診療時間】平日/9:00~17:00 【休診日】土・日・祝

診療部・技術部のご紹介

消化器内科

消化器内科では、食道・胃から大腸にいたる消化管や肝臓・胆道・膵臓など、消化に関する臓器すべての疾患の診断と治療を行っています。特に5大癌にも含まれる胃癌・大腸癌・肝臓癌や、昨今増加傾向にある膵臓癌や胆道癌に対して、迅速に治療につなげられるよう早期発見に尽力しています。また消化器救急にも365日24時間体制で対応しています。


消化器内科の目指す医療

ガイドラインに沿った医療を提供するのはもちろんですが、患者様・ご家族様と親密に相談し、開業医の先生・地域のメディカルスタッフとも連携をとりながら、地域での生活を重視した医療を提供していくことを目指しています。特に消化器疾患の中でも、消化器癌をお持ちの患者さんにとって、24時間体制でのフルサポートを心がけています。

特徴

消化器疾患の診断および治療にかかせないのは内視鏡検査です。内視鏡検査には、リアルタイムに所見を捉える正確な診断能力と緻密な内視鏡技術が必要であり、さらに苦痛を感じさせない丁寧な操作が重要です。 当院では消化器内視鏡専門医とその指導を受けた消化器専門医師が検査を担当します。常に熟練医師による指導により、高度な内視鏡診断・治療の提供を心がけています。また鮮明な画質を提供する最新内視鏡システムと内視鏡処置具を取り入れています。
内視鏡検査においては内視鏡技師資格を持った専門看護師が介助にあたり、入院治療が必要な場合は消化器科専門病棟に入院していただきます。消化器診療に関わる医師・スタッフの知識を深めるため、消化器カンファレンスを開催し、各種学会・研究会に積極的に参加しています。またより高度な治療が必要と判断される場合は、大学病院や癌センターなどの大規模施設への紹介・連携も行っています
地域医療への取り組み
当院では地域開業医の先生が気軽にかつスムーズに内視鏡検査をご利用できるようオープン検査として提供し、迅速な検査結果の提供を心がけています。 入院加療を行った患者様で、退院時に生活環境の整備や各種福祉サービスの利用が必要な方には、入院前より生活環境の調整を開始し、退院前にはケアマネージャー・ホームヘルパー・訪問看護師・往診医を交えた多職種カンファレンスを行い、退院後も安心した生活が過ごせるよう積極的な退院支援を行っています。
癌治療に対するフルサポート ~今ある生活を大切に~
当院は大阪府癌診療拠点病院として認定を受けており、消化器科では5大癌のうち胃癌、大腸癌、肝癌、それ以外にも膵癌、胆道癌、食道癌の診断および治療を行っています。消化器内科では早期癌に対する内視鏡的切除(食道・胃・十二指腸・大腸)や、また肝癌に対する経皮的治療も行っています。局所治療の対象外の腫瘍に関しては当院外科や高次医療機関に紹介し手術治療を行っています。残念ながら他臓器転移や他疾患の合併にて手術治療の適応がない方には、抗癌剤を用いた化学療法や分子標的薬による治療を行っています。消化器癌の場合は、消化管が障害されると食事が摂れなくなることも多く、消化管閉塞に対する内視鏡処置(内視鏡的ステント留置)なども行っています。
癌に対する治療を行うにあたっては長期の通院が必要であり、体調不良時や合併症が生じた場合に24時間フルサポートできることが重要と考えています。また全ての癌患者さんに対して、診断当初より身体的ケアだけでなく心のケアを中心とした医療=緩和医療が必要と考えています。当院では癌と向き合うことになったその日から心のケアを含めた緩和医療を行うことで、日常生活をおくりながら癌治療が行えるよう、癌とともに生き抜く患者さまの不安や疑問を共有・改善していけるよう取り組んでいます。当院の消化器内科医師は全員、日本緩和医療学会PEACEプロジェクトの「癌診療に携わる医師に対する緩和ケア研修」を修了しています。
24時間体制の消化器救急対応
当院は365日24時間、消化器救急疾患に対応しています。内視鏡処置を含めた緊急処置が必要な場合にも、オンコール体制にて消化器内科専門医が対応します。また内視鏡技師資格をもった看護師も8名おり、緊急内視鏡時にもサポート体制をとっているため、平日だけでなく夜間・休日の緊急時にも安全かつ正確な内視鏡治療を提供しています。

トピックス

膵癌早期発見にむけた超音波内視鏡による膵癌スクリーニング

膵癌は年々増加しており、最近では芸能界やスポーツ界の著名人が膵癌で亡くなられたとのニュースも目にいたします。膵癌は診断時にはすでに転移を来していることが多く、また治療を行っても予後はよくないのが現状です。なんとかして膵癌を治したいとわれわれ消化器医は考えていますが、そのためにはいかに膵癌を早い段階で見つけるかが大事です。そのため膵癌の早期発見に向けて全国的に積極的な膵癌スクリーニングが行われており、当院でも膵癌スクリーニングに取り組んでいます。スクリーニングの実際は、膵癌リスク因子を持つ方に腹部エコー検査やCT検査を行い、膵腫瘤や膵癌を疑う副所見を認めた患者さんに超音波内視鏡検査(Endoscopic Ultrasonography : EUS)を行います。表に示す膵癌リスク因子の中でもIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍:膵臓の良性腫瘍)や糖尿病が重要で、積極的なEUSによるスクリーニングが大切とされています。当院では最新のEUS機器を用いて、超音波内視鏡トレーニングを受けた内視鏡専門医が常時検査を行なっています。

膵癌のリスク因子
  • 膵癌家族歴
  • IPMN
  • 糖尿病
  • 膵嚢胞
  • 慢性膵炎
  • 肥満
  • 飲酒
  • 喫煙
膵癌を疑う副所見
  • 膵嚢胞
  • 膵管拡張
  • 膵管広狭不整
  • 胆管拡張
大阪市胃癌検診(内視鏡検診)開始

平成29年10月より大阪市胃癌検診において内視鏡検診が開始されました。従来の胃癌検診はバリウムを用いた胃透視検査のみでしたが、50歳以上の方については内視鏡検査が選択できるようになりました(2年に1回)。胃内視鏡検査として、経口内視鏡検査だけでなく経鼻内視鏡検査も選択できます。ぜひとも胃癌内視鏡検診を受けてみてください!

C型肝炎に対するインターフェロンフリー治療

当院では2016年4月より肝臓専門医が常勤し肝臓学会認定関連施設となっており、C型肝炎に対するインターフェロンフリー治療を積極的に行っています。従来のインターフェロン治療では根治できなかった患者さんにおいても、現在のインターフェロンフリー治療ではほぼ100%の治癒率となっています。平日の消化器外来でいつでも治療可能ですので、気軽にご相談ください。


診療体制

診療日
                               
 
212 午前 船津 那賀川 鍋嶋 船津鍋嶋
午後大野那賀川鍋嶋船津
-
211 午前吉安板東吉安羽鳥那賀川
午後消化器担当医消化器担当医消化器担当医板東消化器担当医
担当医
  • 消化器内視鏡センター長・消化器内科主任部長:船津 英司
  • 医長:那賀川 峻
  • 医員:鍋嶋 克敏
  • 医員:吉安 孝介
  • 医員:板東 正貴
  • 医員:羽鳥 宏隆
  • 医員:名方 勇介
資格
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本内科学会認定内科医
  • 日本内科学会認定教育施設指導医
  • 日本消化器病学会消化器病指導医・専門医
  • 日本消化器内視鏡学会指導医・専門医
  • 日本肝臓学会認定肝臓専門医
  • 癌診療に携わる医師に対する緩和ケア研修終了
施設認定
  • 日本消化器内視鏡学会認定指導施設
  • 日本消化器病学会認定指導施設
  • 日本肝臓学会関連施設

消化器疾患と症状

1.胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃や十二指腸の壁の粘膜がさまざまな原因によって傷つき、粘膜損傷をきたした状態を「潰瘍」といいます。潰瘍がさらに深くなり、壁に孔があいた状態を消化管穿孔といい、胃酸などの消化液や腸内容物が腸管外に流出し、より重症な穿孔性腹膜炎となります。
症状としては、みぞおちの痛み、吐き気、胸やけなどがあり、潰瘍部位から出血することで吐血や黒色便(タール便)を認めることがあります。胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因としては、古くはストレス、暴飲暴食、鎮痛剤などの薬剤によるものが考えられてきましたが、現在では胃に感染したヘリコバクター・ピロリ菌(Helicobactor Pylori)がほとんどの原因とされています。
潰瘍の診断には内視鏡検査もしくは胃透視検査(バリウム検査)がありますが、潰瘍の存在診断だけでなく潰瘍の良悪性を判断するための粘膜生検やピロリ菌検査が可能な内視鏡検査がより優れています。
治療は制酸剤や粘膜保護剤の内服加療による外来通院加療で根治可能ですが、潰瘍からの出血する可能性が高いと診断した場合や止血処置を行った場合は入院での加療が必要となることもあります。潰瘍治療に引き続き、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌療法を行っていきます。

胃角部に潰瘍を認めますが(左図)、内服治療2ヶ月後(右図)には瘢痕治癒しています。

2.逆流性食道炎

胃液が食道に逆流し、胃酸により食道粘膜が障害を受ける疾患です。症状としては胸焼けやみぞおちの痛みが代表的ですが、喉の違和感や、しつこい咳を生じる場合もあります。上部消化管内視鏡検査で食道粘膜障害の程度や逆流の原因を見極めたうえで、適切な治療を選択します。
治療は胃酸分泌を抑える制酸剤や胃腸運動機能改善薬の内服が基本です。それ以外には、胃食道逆流を生じやすくする生活パターンの改善が重要です。

生活上の注意点
 ・高脂肪食や柑橘類・菓子類の摂取は控える
 ・食べ過ぎに注意し、腹八分目に抑える
 ・食後、すぐ横になることは控え、30分~1時間は体を起こしておく
 ・腹圧がかかるような動作や前屈みになる姿勢は食後は控える
 ・寝る直前に食事を摂ることは控える

左からGradeA, GradeB, GradeC, GradeDと粘膜障害の重症度が上がっていきます。

3.胃癌

日本人の死因となる代表的な悪性腫瘍でしたが、検診や内視鏡検査の普及により早期の段階で発見される場合も多く、早期の段階であれば根治も可能です。また進行した病態でも外科手術や抗癌剤治療の発達により治療成績は改善しています。当科では早期癌に対して内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を積極的に行っています。進行癌に対しては病態に合わせて外科手術もしくは抗癌剤治療を行っています。

1.症状

早期癌の場合は無症状の場合も多く、進行癌になると、腹痛、食事のつかえる感じ、吐き気、体重減少、黒色便などがみられますが、胃癌に特徴的な症状はありません。そのため腹部症状を認める場合だけでなく、症状がなくても胃癌検診などを利用して積極的に胃の検査を受けることが重要です。

2.診断法

胃癌の診断は、内視鏡検査による肉眼診断とその際に行う組織検査(生検)で行います。検診などのバリウム検査(胃透視)で異常が見つかった場合は、精密検査として内視鏡検査を行います。内視鏡検査で確定診断がつけば、どの程度癌が進行しているか、進行度(ステージ)を決定するため、CT検査などを行います。進行度により胃癌治療ガイドラインに準じて内視鏡治療、外科的治療、抗癌剤治療を行います。

3.早期胃癌に対する内視鏡治療

当科では、早期胃癌に対する内視鏡的治療(内視鏡的粘膜下層剥離術、ESD)を積極的に行っています。 方法としては、病変の周囲をマーキングし、病変の下に薬剤を注入して病変部の粘膜を浮かせ、電気メスで剥離していきます(図2)。剥離した部位は粘膜が欠損した潰瘍となり(図3)、術後出血の危険性があるため内服治療と絶食を含めた食事療法が必要となります。

4.進行胃癌に対する化学療法

内視鏡治療や、手術での治療が困難な進行胃癌に対しては、患者様のご希望や体力に応じて、適切な抗癌剤治療を行います。また抗癌剤の副作用や、癌の進行による様々な症状(骨や多臓器への転移による痛み、吐き気など)に対しては、緩和ケアチームと連携しながら緩和治療を行います。


4.大腸癌および大腸ポリープ

大腸癌は癌の部位別死亡率において男性では3位、女性では1位となっており、年々増加しています(2016年国立癌研究センター)。肉類などの動物性タンパク質および動物性脂肪の摂り過ぎや、食物繊維の不足が原因と考えられています。大腸の中で便の滞留時間が長くなると、高脂肪食は腸内細菌の働きを活発にし、発癌物質を作るといわれています。その発癌物質と大腸の粘膜の接触時間が長くなるとともに発癌物質の濃度が高くなり、癌が発生しやすくなると考えられています。

1.症状

腹痛や出血、便秘や下痢、便が細くなる、残便感などがありますが、症状がなくても便検査で異常を指摘される場合もあります。症状は腫瘍が大きくなってから出てくることが多く、早期の段階では症状が出ない場合がほとんどです。そのため早期の腫瘍を見つけるためには症状がない段階で大腸検査を受けることが重要です。

2.診断法

簡便に行える検査として便潜血反応検査が知られています。ただし診断率は高くないところが問題です。大腸の検査には内視鏡検査とバリウムを用いる注腸検査があります。いずれの検査も検査前に下剤を服用する必要があります。注腸検査は内視鏡検査に比べて苦痛が少ないですが、レントゲン検査台の上で体位変換を頻回に行う必要があります。また検査自体はレントゲン撮影を行うのみですので組織検査は不可能です。それに対して、内視鏡検査は直接腸管内を観察するため、詳細な観察・診断が可能であり、また病変の一部を採取する組織検査が可能です。
検査中にポリープが見つかった場合には、ポリープの種類・サイズによっては外来でも内視鏡切除が可能です。外来でポリープの内視鏡的切除を行った場合には、術後の入院の必要はありませんが、食事療法や飲酒制限など日常生活上の注意事項がありますので、担当医および看護師からの指示に従ってください。

<早期大腸癌に対する内視鏡治療>

早期癌に対する内視鏡的切除としては、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:endoscopic submucosal dissection)を行っています。


3.早期大腸癌に対してESDを施行した症例
図:上行結腸の側方発育型の早期癌。ESDによる一括切除を行いました。病理組織検査では、治癒切除でした。
4.大腸癌に対する化学療法

内視鏡治療や手術治療での根治が難しい場合には抗癌剤を用いた化学療法を行います。患者さんの年齢や全身状態、合併疾患などを考慮・相談し、適切な治療を選択し施行しています。化学療法は抗癌剤による副作用などを伴うことも多いため、初回導入は入院のうえで行い、その後の治療継続は外来で行っています。

図:直腸上部の1型腫瘍(左図)。CT検査で肺や肝臓に転移を認めたため、化学療法を施行することとなりました。3か月後の内視鏡検査(右図)では腫瘍は著明に縮小していました。

5.総胆管結石症

胆嚢内の結石が胆嚢から総胆管内に移動したものをいいますが、胆嚢摘出後にも総胆管内で自然発生する場合もあります。結石が総胆管と十二指腸の合流部である十二指腸乳頭部付近で詰まってしまうと、腹痛・発熱をきたし、時には皮膚や目の色が黄色くなる黄疸をきたすこともあります。結石が詰まった状態で放置しておくと数日で全身状態が悪くなり、時には膵炎を伴い重篤化する恐れがあります。診断法には、外来で可能なCT検査やMRCP検査、入院して行う内視鏡的胆管膵管造影検査(ERCP)があります。ERCPは内視鏡を口から十二指腸まで挿入し、カテーテルを十二指腸乳頭部から胆管内に挿入し、まず胆管造影を行います。そのうえで総胆管内に結石を認めた場合は、十二指腸乳頭括約筋切開術(EST)や十二指腸乳頭括約筋バルーン拡張術(EPBD)を行ったのち、結石を除去します。内視鏡処置が困難な場合には、体表から胆管の処置を行う経皮経肝的胆管ドレナージ術(PTCD)を行うこともあります。

図:胆管の開口部である十二指腸乳頭部にカテーテルを挿入します。乳頭切開用のパピロトミーナイフにて、乳頭切開を行います。その後バスケットカテーテルを胆管内に挿入し、結石の除去を行います。

6.急性膵炎・慢性膵炎

総胆管結石やアルコール多飲が原因となって膵臓に炎症を生じるのが急性膵炎および慢性膵炎です。血液検査に加えてCT検査・MRI検査・内視鏡検査などの各種画像検査により原因と病態を把握し、膵臓の炎症を抑え、また膵炎の原因に対する治療を合わせて行っていきます。


7.胆道癌・膵臓癌

胆道癌および膵臓癌は、日本における癌による死因のなかでも増えてきている悪性疾患です。症状に乏しいため診断時にはかなり進行した状態で見つかることも多いのが現状です。当院では胆道癌・膵臓癌の発生のリスクが高いとされている患者さんに対して、超音波内視鏡検査(EUS)やMRCPなどの画像診断を用いて積極的なスクリーニング検査を行い、早期発見に努めています。また膵臓癌のリスク因子とされる膵管内乳頭状粘液産生性腫瘍(IPMN)に対しても、ガイドラインに沿った適切な診断および経過観察を行っています。

1.症状

胆嚢癌、胆管癌の症状は腹痛や吐き気、体重減少、黄疸(体が黄色くなる、白っぽい便が出る、尿の色が濃くなる、体にかゆみがでる)などがあります。

2.診断法

診断には腫瘍マーカーや腹部超音波検査、腹部CT検査、MRI検査など体に負担の少ない検査からおこないます。そのうえで胆嚢癌や胆管癌が疑われた場合には、必要に応じて超音波内視鏡検査(EUS)やERCP検査といった内視鏡検査を実施し、細胞診・組織診を加えて診断を確定し、進行度(ステージ)を決定していきます。

3.画像検査例

<1.胆嚢癌の画像検査>

(上段①腹部超音波検査、下段左から②造影CT検査、③MRI検査、④EUS検査。)

<2.胆管癌の画像検査>
(左から①造影CT検査、②MRI検査、③ERCP検査。)
4.治療

胆嚢癌・胆管癌と診断がついた場合には、進行度(ステージ)に応じて治療方針を決定します。治療には手術・抗癌剤・放射線治療がありますが、手術が根治を期待できる唯一の治療法であるため、まずは手術が可能かどうか検討します。転移や腫瘍の拡がりで手術での治療が困難な場合には抗癌剤治療や放射線治療を検討していきます。また、黄疸や肝機能障害がある場合には、手術や抗癌剤といった治療の妨げになるため、治療開始前に黄疸を改善させる減黄処置をおこないます。

<1. 減黄処置(内視鏡的胆管ステント留置術)>

黄色矢印が胆管癌で狭窄した部分です。狭窄した部分で胆汁流出障害をきたすと黄疸の原因になります。狭窄部に対して、内視鏡を用いて胆管ステントを留置すると右図のようになり、胆汁の流れを確保して減黄できます。

手術は、病変の伸展範囲や患者様の術前状態を考慮して術式(切除範囲など)を選択します。術式を決めるためにも、CTやMRIといった画像検査、EUSやERCPといった内視鏡検査による診断が非常に重要になります。

<2.抗がん剤治療・放射線治療>

手術困難例については、ゲムシタビンやシスプラチン、TS-1といった抗癌剤を適宜組み合わせて抗癌剤治療を実施します。腫瘍の拡がりや場所によって放射線治療の適応と診断した場合は神戸大学医学部附属病院や近隣の高次機能センターへの紹介も行っています。


8.膵臓癌

1.症状

膵癌の症状は腹痛や背部痛、吐き気、体重減少、黄疸(体が黄色くなる、白っぽい便が出る、尿の色が濃くなる、体にかゆみがでる)などがあります。

2.診断法

診断には腫瘍マーカーや腹部超音波検査、腹部CT検査、MRI検査など体に負担の少ない検査からおこないます。そのうえで膵癌が疑われた場合には、必要に応じて超音波内視鏡検査(EUS)やERCP検査といった内視鏡検査を実施し、細胞診・組織診を加えて診断を確定し、進行度(ステージ)を決定していきます。膵癌は無症状であることが少なくなく、症状がでた時には進行癌が多いことから、慢性膵炎、糖尿病、膵嚢胞性腫瘍がある方や家族歴がある方は膵癌の高リスク群であるため、無症状であっても定期的な検査を実施することが重要とされています。

<1.画像検査例>

膵癌画像検査(左から①造影CT検査、②EUS検査。黄色矢印が膵癌。)

下図は、超音波内視鏡(EUS)を用いて、膵癌を描出しながら、組織を採取する針を穿刺しているところです。

3.治療

膵癌と診断がついた場合には、進行度(ステージ)に応じて治療方針を決定します。治療には手術・抗癌剤・放射線治療がありますが、手術が根治を期待できる唯一の治療法であるため、まずは手術が可能かどうか検討します。転移や腫瘍の拡がりで手術での治療が困難な場合には抗癌剤治療や放射線治療を検討していきます。
また、黄疸や肝機能障害がある場合には、手術や抗癌剤といった治療の妨げになるため、治療開始前に減黄(黄疸を改善させる)処置をおこないます。
手術は、病変の部位や伸展範囲、患者様の術前状態を考慮して術式を選択します。術式を決めるためにも、CTやMRIといった画像検査、EUSやERCPといった内視鏡検査による評価が非常に重要になります。
手術困難例については、抗癌剤治療や放射線治療をおこないます。抗癌剤治療についてはいくつか種類があり、年齢や体力などを考慮してその都度投与する抗癌剤を調整していきます。

<1.〈治療例〉>

1年間の抗癌剤治療(nabPTX+GEM療法)により縮小した膵癌


9.炎症性腸疾患

潰瘍性大腸炎とクローン病が代表です。もともと若い人に発症する病気でしたが、最近は中高年になってから潰瘍性大腸炎を発症する方も増えています。診断は、血液検査や内視鏡検査による病状診断を行い、ガイドラインに準じた内服治療(各種5-ASA製剤やステロイド・免疫抑制剤)や点滴治療を行っていきます。


10.過敏性腸症候群

ポリープや潰瘍などといった腸管の形態変化を伴う病気ではなく、腸管の働きや動きに異常をきたす機能性胃腸障害とされる疾患です。内視鏡検査・レントゲン検査などの各種画像検査にて形態学的異常(器質的異常)がないことを確認したうえで、詳細な問診・診察を行って診断する必要があります。症状は、下痢、便秘、あるいは便秘と下痢を交互に繰りかえすことが多く、また腹痛を伴うことも少なくありません。治療は内服治療が主体ですが、患者さんの症状だけでなく生活スタイルや社会環境なども考慮しながら治療を行っていくことが重要です。


11.慢性肝炎

B型肝炎・C型肝炎という肝炎ウィルスによるものや、アルコール性肝障害が知られていますが、最近では非アルコール性脂肪肝といった疾患も増えてきています。慢性肝炎を放置していると、肝硬変・肝不全といった肝臓が正常に機能しない状態になったり、肝臓癌を発症したりすることがあります。いずれの肝疾患も初期段階では自覚症状に乏しく、健診などの血液検査で肝障害を指摘されて受診されることがほとんどです。 症状としては全身倦怠感や腹部膨満を認めることがありますが、そのような段階ではかなり病状が進行している場合もあります。ウィルス性肝炎に関しては、B型肝炎に対する核酸アナログ製剤や、C型肝炎に対する直接作用型抗ウィルス剤(DAAs:Direct Acting Antivirals)を用いたインターフェロンフリー治療を行っています。特にC型肝炎に対するインターフェロンフリー治療では、100%に近い治癒が可能です。C型肝炎が治癒したのちも、肝臓癌の発生リスクは少なからずあるため、定期的な画像検査を行う必要があります。


12.肝硬変

肝炎ウィルスやアルコールによる肝障害が慢性的に持続すると、炎症により肝臓が硬くなってしまう肝硬変という状態になります。肝硬変になると徐々に肝臓の機能が低下し、正常の肝臓の働きができなくなってきます。 肝硬変が進行すると、お腹に水がたまる腹水貯留や、目や皮膚が黄色くなる黄疸、意識障害や昏睡に陥る肝性脳症を来します。腹水貯留・黄疸・肝性脳症を伴ってくると日常生活が制限されることも多くなります。このような肝硬変になる前に、肝障害の原因を精査し、肝硬変にならないよう肝障害の原因の治療を行っていくことが重要です。


13.原発性肝癌

肝臓は”沈黙の臓器”と呼ばれ、肝臓癌の初期では自覚症状がほとんどありません。検診などの血液検査で肝機能障害を指摘され、腹部超音波検査、腹部CT検査などの画像検査で肝臓癌と診断されることが少なくありません。肝炎ウィルスなどによる慢性肝炎や肝硬変を背景として肝臓に癌が出来やすいとされています。最近では肝炎ウィルスによる肝臓癌が減少傾向にあり、肝炎ウィルス以外にはアルコール性肝障害や脂肪肝が肝臓癌の原因として増加傾向にあります。肝臓癌の診断には造影エコー検査やCT・MRI検査を行い、外科治療やカテーテル治療(TACE:肝動脈塞栓化学療法)やラジオ波焼灼療法(RFA)を行っています。

1.診断法
<1.腹部超音波(エコー)検査>

ベッドサイドにて施行可能で、X線被爆もないため患者さんの身体的負担が少ない検査です。ただし、腸管ガスや皮下脂肪、術者の技量により観察範囲が制限されることもあるのが欠点です。当院ではエコー用の造影剤を注射して行う造影超音波検査も行っています。

<2.腹部CT・MRI検査>

CT検査・MRI検査では、体を輪切りにする断層写真が撮影でき、任意の方向の断面画像が得られます。CT検査ではX線被爆を伴うため妊婦の方では撮影制限があります。MRI検査では、磁気を用いて撮影するため体内に金属機器が入っている方や入れ墨がある方は撮影制限があります。この2つの検査は、術者の影響を受けないため客観的な評価が可能であり、病変の大きさや広がり、リンパ節転移や周囲臓器への広がりを調べることができます。また治療前後での腫瘍の大きさなどが客観的に判断でき、治療効果の評価が可能です。

2.治療

肝細胞癌の治療は肝機能と腫瘍の個数と大きさをもとにして治療方針を決定します。 治療には外科的肝切除が中心ですが、切除後の残肝機能や肝腫瘍の個数・部位、患者背景により、局所治療や血管内治療および化学療法が選択されることもあります。消化器科では局所治療であるラジオ波焼灼療法、血管内治療、化学療法を行っています。

<1.・ラジオ波焼灼療法(RFA)>

腫瘍をエコー機器で見ながら体表より腫瘍を穿刺し、腫瘍内部に高熱を発生させ癌を焼いて死滅させる方法です。治療の際には体表の穿刺部に局所麻酔を行います。また治療中は痛みや熱感を感じないように鎮静剤の点滴を行います。治療に要する時間は約10~20分程度です。その他にも穿刺針よりエタノール(アルコール)を癌に注入し死滅させる経皮的エタノール注入療法(PEIT)も行う場合があります。

図:エコーにて腫瘍を描出し、体表に局所麻酔を行ったうえで穿刺を行います。腫瘍内部に針が到達したことを確認しラジオ波焼灼を行います。
<2.・肝動脈化学塞栓療法(TACE)・肝動脈塞栓療法(TAE)・肝動注化学療法(TAI)>

カテーテルを動脈内に挿入し、肝動脈から癌を栄養する血管に抗癌剤と血管塞栓剤を注入することで、癌を壊死させる治療です。できるだけ腫瘍のみに流入する血管を選択し治療を行うため、正常肝組織への影響を少なく抑えることが出来るため、複数の病変に対して治療ができます。そのため肝臓内には多発する病変が良い適応となります。肝機能や病変の部位によっては抗癌剤や塞栓剤のみを使用する肝動脈塞栓療法(TAE)・肝動注化学療法(TAI)を行うこともあります。

<3.・分子標的薬>

上記のいずれの治療も対象にならないような肝内の多発病変や、肝臓以外の臓器に転移がある場合は化学療法の適応となります。化学療法としては、肝癌に対しては分子標的薬を使用します。当院ではレンビマ®(レンバチニブ)、ネクサバール®(ソラフェニブ)を主に用いて治療を行っています。


内視鏡検査(上部消化管内視鏡検査、大腸内視鏡検査、小腸内視鏡検査)

上部消化管内視鏡検査

一般に胃カメラ検査といわれる検査で、喉の麻酔を行ったのち、口から胃に内視鏡(スコープ)を挿入し、咽頭・食道・胃・十二指腸を観察します。口からの挿入をする通常の経口内視鏡検査以外に、口径が細いスコープを鼻から挿入する経鼻内視鏡検査も行っています。経鼻スコープは経口スコープに比べて、スコープ径が細いため咽頭の苦痛や嘔吐反射が少ないとされています。ただスコープ径が細いため内視鏡に搭載されているCCDカメラも小さくなるため画質が悪いことや止血処置などの各種処置具が使えないことが欠点です。 上部消化管内視鏡検査は検査前日の夜9時以降から検査当日まで絶食が必要となります。検査当日は絶食となるため、検査は午前中に行っています。検査は基本的には予約検査となり、一度外来診察を受けていただいたうえで、医師が内視鏡検査が必要と判断した際に検査予約を行います。当日の検査を希望される場合は、絶食で11時までに来院していただければ、可能な限り当日の検査に対応いたします。ただし検査件数や状況により対応できない場合もありますので、ご了承ください。

大腸内視鏡検査

検査前日および検査当日に当院指定の下剤を服用していただき(大腸前処置)、肛門から内視鏡を挿入し大腸全体を観察します。外来にて医師の診察後、大腸内視鏡検査の予約を行い大腸前処置用の下剤を処方いたします。検査前日からの前処置が必要となるため予約検査となりますが、下血・血便により当日の検査を医師が必要と判断した場合は、簡易の前処置により全大腸の半分程度となるS状結腸までの観察を行うS状結腸内視鏡検査も行っています。

鎮静下検査(セデーション併用検査)

内視鏡検査は生体内に内視鏡機器を挿入していくため、高度な技術や最新機器を駆使しても苦痛を伴います。胃カメラ検査の場合は若年の方ほど咽頭反射(喉に異物が入った際に生じるえづき・嘔吐)が強く、大腸カメラ検査の場合は腹膜炎や腹部手術後の腹腔内癒着を伴っている患者様は疼痛が強くでやすいとされています。初めて検査を受けられる方には、通常通りの検査を受けることをお勧めしますが、どうしても内視鏡検査が苦手という方や過去の検査でつらい思いをされた方には、鎮静剤を使用して眠っている間に検査を受けていただくセデーション検査(鎮静下検査)も行っています。セデーション検査は、鎮静剤の副作用である呼吸抑制・血圧低下に注意しながら行いますが、鎮静効果が覚めるまで検査後1時間程度休んでから帰宅していただきます。セデーション検査当日は自転車および自動車の運転ができないため電車などの交通機関を利用していただく必要があります。鎮静が覚めてからもふらつく場合があるので、特に高齢の患者さんの場合は付き添いがおられるほうが望ましいです。また検査結果については、当日の記憶があいまいとなることが多いため、後日に説明させていただくことをご理解願います。

小腸内視鏡検査・カプセル内視鏡

炎症性腸疾患の診断や、原因不明の消化管出血の小腸精査のために、小腸内視鏡検査を行っています。前処置の必要性や検査時間の調整が必要となることもあり、完全予約検査としています。また小腸疾患のスクリーニングとしてカプセル内視鏡検査も行っています。

超音波内視鏡検査(EUS)

通常の内視鏡観察では食道・胃・大腸の粘膜の変化を肉眼的に捉え、腫瘍の存在診断から良悪性の診断を行っていますが、腫瘍性病変の拡がりを正確に診断することはなかなか困難であり、それを可能にするのが、超音波内視鏡検査です。超音波内視鏡検査では、腸管の壁の厚みや腫瘍の拡がりを診断できるだけでなく、腸管外の腫瘍(たとえば膵腫瘍、胆道腫瘍)などの詳細な診断も可能です。たとえば胃癌の診断であれば、早期癌であるのか・進行癌であるのかの判断だけでなく、早期癌に対して内視鏡的切除が可能かどうかの診断を行っております。また各種胆道疾患や膵疾患のスクリーニング検査としても有用であり、超音波観察だけでなく腫瘍に針を刺して細胞採取を行う超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)も行っています。超音波内視鏡は診断検査として有用なだけでなく、各種胆道ドレナージ・膵嚢胞ドレナージといった治療手技にも活用しています。超音波内視鏡検査はいずれも通常内視鏡検査より検査時間が長く、また特殊な内視鏡を使用するため、検査は必ずセデーション(鎮静剤)を使用して行います。


消化器内視鏡治療

消化管悪性腫瘍に対する治療

早期の消化管悪性腫瘍に対しては、超音波内視鏡検査(EUS)および狭帯域光観察(Narrow Band Imaging:NBI)・拡大内視鏡観察にて深達度診断を行います。深達度診断およびCT検査などの他画像診断を踏まえて総合的に内視鏡的切除の適応を診断し、内視鏡的切除の適応と診断した場合は内視鏡的粘膜切開剥離術(ESD)やスネアを用いたストリップバイオプシー法による内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行います。術直後は絶食管理が必要となるため入院での治療となります。術後の経過により段階的に食事を開始していきます。1週間前後で退院となり、外来にて切除病変の病理診断結果の説明を行います。
内視鏡治療の適応がなく外科的治療の適応がある場合は、外科医師に紹介のうえ腹腔鏡手術や開腹手術を行います。残念ながら他臓器への転移が認められる場合や本人が外科的治療を希望されない場合は抗癌剤を用いた化学療法を行います。
また腫瘍の進行に伴い消化管狭窄や消化管閉塞をきたし食事が摂れなくなる場合があります。その場合は、消化管の通過障害を改善するためバイパス手術などの外科的治療を行うこともありますが、全身状態が悪く手術が受けられない患者さんや少しでも早く退院して元の生活に戻りたいと希望される患者さんに対しては内視鏡的消化管ステント留置術も行っています。

胆道・膵疾患の検査・処置

胆道・膵疾患の精密検査には、①CT検査やMRI検査、②腹部超音波検査(エコー検査:US)、③超音波内視鏡検査(EUS)および④内視鏡的胆管膵管造影検査(ERCP)があります。このうちCT・MRI・エコー検査は患者さんに対する侵襲も少ないため、スクリーニングや精密検査として第一に行われることが多い検査です。超音波内視鏡検査も外来で行いますが、検査の適応と具体的な方法について消化器科医師より説明のうえ行います。ERCPは診断だけでなく、胆道・膵臓の処置も併せて行うことが多いため、必ず入院のうえ行う必要があります。当院では十二指腸乳頭括約筋切開術(EST)や十二指腸乳頭括約筋バルーン拡張術(EPBD)を用いた胆管結石の除去、胆膵悪性疾患に対する各種細胞診・穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)、胆道悪性腫瘍に対する内視鏡的胆管ドレナージ(EBD)や金属ステント留置術(EMS)、胆石および膵石に対する体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、消化管術後の患者さんの胆膵処置(経皮経肝的胆道ドレナージ:PTCD,PTGBD、ダブルバルーン内視鏡を用いた胆道処置)など、さまざまな胆膵疾患に対する診断・治療を行っています。

千船病院消化器内科の実績
上部内視鏡実績
2016年度
上部消化管内視鏡検査総数
3,067件
超音波内視鏡
218件
ポリープ切除
5件
切開剥離術(ESD)
21件
内視鏡的止血術
61件
食道静脈瘤治療
23件
胃瘻造設
30件
下部内視鏡実績
2016年度
下部消化管内視鏡検査総数
1,800件
超音波内視鏡
5件
ポリープ切除
429件
切開剥離術(ESD)
8件
内視鏡的止血術
45件
胆膵関連検査治療実績
2016年度
胆膵関連検査総数
251件
ERCP/ERCP+IDUS
35件
EST+結石除去
108件
ERBD/EMS
77件
PTCD
10件
PTGBA/PTGBD
18件